今回の記事では、WAR(Wins Above Replacement:ウォー)という指標をご紹介します。
『野球のWARってどういう指標なの?』
『WARの評価方法を知りたい』
という疑問にお答えします。
WARという指標が出来るまでは、選手の貢献度を把握するために、複数の指標を吟味する必要がありました。
また、投手と野手を同じ土俵で評価すること自体が、難しいことだとされていました。
しかし、WARという指標を理解することで、これらの問題を見事に解決してくれます。
そこで本記事では、WARという指標について、2018年の具体的な成績を例に出しながら分かりやすく解説します。
本記事を読むことで、WARという指標が理解出来て、野球選手のチームへの貢献度が簡単に分かるようになりますよ。
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【野球指標】WARとは?
WARとは、野球選手の投球・打撃・走塁・守備を総合的に評価し、貢献度を測る指標です。
WARとは、以下のように説明されています。
WARは、Wins Above Replacementという正式名称が示す通り、「そのポジションの代替可能選手(Replacement)に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか」を表す指標である[1]。代替可能選手とは、「平均以下(below average)の実力で、容易に獲得できる(easily obtainable)選手」、すなわち3Aから昇格させたり、ウェーバー経由や後日指名選手(PTBNL)で獲得できる控えレベルの選手を指す。トム・タンゴは「FA市場において最低年俸水準で獲得できる選手、またはトレードにおいて最小限の損失で獲得できる選手」と定義している[2]。代替可能レベルの選手でチームを構成した場合には162試合のシーズンで勝率.320、52勝が期待出来る[3]。代替可能レベルの設定はシンクタンクにより異なっていたが、2013年現在、FanGraphs[1]とBaseball Reference[2]は勝率.294で統一している。平均的なレギュラー野手、先発投手のWARは2.0とされている。一方、平均的なリリーフ投手のWARは0.3とされている。仮にWARが0ならば、その選手は「代替可能」なレベルということになる[1]。
引用元:Wikipedia WAR(野球)
WARとは選手の貢献度を表した指標
WARは選手の貢献度を表した指標です。
WARの数値の見方は、「代替選手と比較した場合に、チームに何勝分の上積みをもたらしたか」という風に考えます。(代替選手:NPBでは「2軍の選手」と考えると分かりやすいです。)
例えば、巨人の坂本勇人選手の2018年のWARは6.3です。
これは、代替選手の変わりに坂本選手が出場することで、チームに6.3勝の上積みをもたらした、と考えます。
言い換えると、坂本選手がWAR0の選手と入れ替わってシーズンを戦い抜くと、シーズンで6.3勝が減り、その分6.3敗する計算になるということです。
仮にそうなった場合、2018年シーズンの巨人は67勝71敗→61勝77敗となり、中日・阪神と熾烈な最下位争いをしていたかもしれません。
WARの高い選手が、いかにチームに貢献しているかが分かりますね。
WARは選手の総合的な貢献度を数字で表した指標で、値が高ければ高いほど優秀な選手ってことなんや!
WARは投手野手問わずに全ての選手を同じ土俵で評価できる
WARは投手・野手問わずに全ての選手を同じ土俵で評価できる指標です。
今までなら、投手なら防御率やQS率といった投手特有の指標で評価し、野手は出塁率やOPS、UZRといった野手特有の指標で評価する事しか出来ませんでした。
そのため、投手と野手のどちらがチームの勝利に貢献したのか、それらの指標の組み合わせで判断するしかありませんが、それは非常に難しい事でした。
しかし、WARという指標が出来たことで、これらの問題を解決し、投手野手を同じ土俵で評価する事が出来るようになりました。
WARという指標を使う事で、投手野手のチームへの貢献度を同じ指標で評価する事が出来るんやね!
WARの読み方は「ウォー」
WAR読み方は、一般的には「ウォー」と読まれる事が多いです。
ちなみに、WARとは、Wins Above Replacement(代替可能選手に対する勝利の上積み)の頭文字を取っています。
「ワー」って読みたくなるけど、アメリカでは「ウォー」と呼ぶので、そっちが正しい読み方のようです!
【野球指標】WARの計算方法と評価の一例
WARの計算方法は複雑
WARの計算方法は非常に複雑になっています。
例えば野手の場合、打撃成績に関しては
単打:0.44、二塁打:0.78、三塁打:1.13、本塁打:1.42、四球:0.29、凡打:ー0.26として加算されています。
野手の場合は、打撃以外にも走塁(盗塁等)や守備(UZR等)の指標も考慮した上で、最終的にWARという指標を計算しています。
投手の場合は、FIP、BABIPという指標で重要になる投手自身がコントロールできる指標(奪三振・被本塁打・与四球等)を中心に、球場ごとの補正やゴロ、フライ、ライナーの割合等から算出されます。
[say name=”かつを” img=”https://katsuwopapa.com/wp-content/uploads/2019/05/icon-katsuwopapa1b.jpeg”]とにかくWARという指標は計算が複雑なんですね![/say]
WARはポジション毎に補正値がある
WARは、計算時にポジション毎の補正値があるのが特徴です。
rWARの補正値は以下のようになります。
“守備位置補正得点を加える
数値はfWARとやや異なり、現在は以下の通りである。150試合×9イニング=1350守備イニングおきに以下の補正値を加える。
捕手: +10.0 得点
遊撃手: +7.5 得点
二塁手: +3.0 得点
三塁手: +2.5 得点
中堅手: +2.5 得点
左翼手: -7.5 得点
右翼手: -7.5 得点
一塁手: -10.0 得点
指名打者: -15.0 得点引用元:Wikipedia WAR(野球)
ポジション毎の補正値の特徴としては、以下の2点があります。
- 捕手と遊撃手のプラスの補正値が大きい
- 左翼手(レフト)、右翼手(ライト)、一塁手(ファースト)、指名打者(DH)のマイナス補正値が大きい
仮にポジションが異なる選手が同じ成績を残した場合、キャッチャーやショートの選手はWARが高くなり、レフト・ライト・ファーストの選手は相対的にWARが低くなります。
このポジション補正値の影響はかなり大きく、後述の2018年のWARランキングでは、上位10人中7人がセンターライン(キャッチャー・セカンド・ショート・センター)の選手となっています。
ポジション毎に補正値が加えられるのがWARの特徴やね。センターラインとサードの選手はプラスで、それ以外の選手はマイナスなんやね!
WARの評価基準は単純明快
WARの評価基準は、概ね以下のように表すことが出来ます。
評価 fWAR rWAR MVP 6.0以上 8.0以上 スーパースター 5.0 – 6.0 オールスター 4.0 – 5.0 5.0以上 好選手 3.0 – 4.0 レギュラー 2.0 – 3.0 先発メンバー 1.0 – 2.0 2.0以上 控え 1.0以下 0-2.0 リプレイスメント 0未満 0未満 引用元:Wikipedia WAR(野球)
WARの値は高いほど優秀です。
一般的なレギュラークラスの選手のWARが2.0とされています。
また、WARはマイナスになることもあります。
その場合、総合的に評価して代替選手の方が良いと考えることが出来ます。
2018年の規定到達者でWARが最下位だったのが、千葉ロッテマリーンズの藤岡裕大選手で、WAR-0.4でした。
2018年の規定到達者の中では唯一のWARがマイナスの値を記録しています。
つまり、藤岡選手を使うよりも、代替選手(2軍の選手)を使った方が、総合的に見るとプラスになったという考えになります。
これは選手としては、かなり厳しい評価ですよね。
WARは普通のレギュラー選手は2.0が目安になるんやね!WARがマイナスまで行くと、相当な評価の低さになるね。
WARで選手の年俸が適正か分かる
WARを見れば、その選手の年俸が適正かどうか判断できます。
チームへの貢献度を上積みした勝利数というわかりやすい基準で評価できるため、WARを用いた適正年俸の算出も容易に行えるようになった。WAR1あたりの適正年俸はリーグの総年俸や最低年俸を基準に算出される。近年は上昇傾向にあるが2011年基準WAR1あたり400万~500万ドル前後として計算される。仮に400万ドルとした場合、2007年~2011年の通算WARが10.4である松坂大輔に支払われるべき5年間の年俸総額は4400万ドルとなる。
引用元:Wikipedia WAR(野球)
日本では、レギュラークラスの選手(WAR2.0)の年俸が約1億円と考えると、WAR1.0あたり5000万円程度の評価が妥当な所ですね!
2018年プロ野球WARランキング
2018年の投手、野手それぞれのWARランキングは以下の通りです。
投手WARランキング
野手WARランキング
2018年のWARランキングの詳細については、
>>プロ野球WARランキング2018!12球団で最も勝利に貢献したのは誰!?
をご覧下さい。
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一般的に、投手よりも野手の方がWARが高くなる傾向にあります。
ここで注目したいのが、野手のWARランキングの上位10人中、7人がセンターライン(キャッチャー・セカンド・ショート・センター)の選手という点です。
WARという指標の特性上、ポジション補正の関係でセンターラインの選手が高く評価されやすいということが分かります。
WARは本当にセンターラインの選手が高く評価されるんよね。個人的にはレフトライトに比べてセンターの評価が高すぎでは?と感じています。
歴代プロ野球WARランキング
歴代のプロ野球でのWARランキングは以下の通りです。
ランキング | 選手 | 所属球団 | 年度 | WAR |
1位 | 山田哲人 | ヤクルト | 2015年 | 12.9 |
2位 | 長嶋茂雄 | 巨人 | 1961年 | 12.8 |
3位 | 王貞治 | 巨人 | 1973年 | 12.3 |
4位 | 長嶋茂雄 | 巨人 | 1963年 | 11.9 |
5位 | 長嶋茂雄 | 巨人 | 1959年 | 11.2 |
6位 | 王貞治 | 巨人 | 1966年 | 10.6 |
7位 | 王貞治 | 巨人 | 1968年 | 10.5 |
8位 | 王貞治 | 巨人 | 1970年 | 10.4 |
9位 | 長嶋茂雄 | 巨人 | 1958年 | 10.4 |
10位 | イチロー | オリックス | 1995年 | 10.3 |
歴代のプロ野球で堂々のWARランキング1位は、2015年の山田哲人選手で、驚くべき事にWARは12.9!
2015年の山田哲人選手は、自身初となるトリプルスリーを達成し、チームのリーグ優勝に大きく貢献しました。
2位以降は長嶋茂雄選手と王貞治選手がずらりと並びます。
長嶋茂雄選手と王貞治選手は、やっぱり昭和の野球界における大スターだったことが、よくわかるランキングですね!チームにWAR10クラスの選手が二人もいれば、9連覇出来ても不思議じゃない!
結論:WARは、全てのプロ野球選手の“貢献度”を総合的に評価可能にした画期的な指標
今回の記事では、WARという指標をご紹介しました。
WARという指標を用いることで、今までは難しいとされていた、投手と野手を同じ土俵で、単一の指標で評価することが出来ます。
また、野手の評価も打撃・守備・走塁の全てを加味し、総合的な能力を1つの指標で把握することが出来るようになります。
ぜひ、これからは野球選手を評価する際に、WARという指標に注目してみてください。
WARが理解出来れば、全ての選手を同じ土俵で評価することが出来るんやね!適正年俸の算出にも使われているので、ぜひチェックしてみて下さい!
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