今回の記事では、UZRについてご紹介します。
これまでは、守備能力の評価と言えば、失策(エラー)数で評価するのが一般的でした。
しかし、守備にはエラー数(守備率)以外にも評価すべき様々な能力があります。
例えば、肩の強さや送球の正確さ、守備範囲の広さなどですが、エラー数だけではそれらを評価できません。
そのような守備に関する様々な能力を、総合的に評価するための指標がUZRです。
本記事を読めば、UZRの持つ意味を理解出来るようになります。
また、UZRの具体的な評価方法も分かるようになります。
今までエラー数(守備率)で評価するしか無かった、守備に関する新しいUZRという指標を知る事で、野球の楽しみ方が広がること間違いなしです。
UZRについて詳しく知りたい方は、ぜひ参考にしてみて下さいね。
UZRとは?
UZR(Ultimate Zone Rating:アルティメット・ゾーン・レーティング)とは、野手の守備能力を数値で評価出来るようにした指標です。
これまでは野手の評価と言えば、守備率(守備機会のうち、失策をしなかった割合)、若しくは失策(エラー)数そのもので評価される事が殆どでした。
しかし、守備率だけではその選手の守備能力が総合的に評価出来ているとは言えません。
守備力と一言で言っても、守備には下記のような様々な能力が求められます。
- 捕球能力
- 守備範囲の広さ
- 送球の正確さ
- 併殺プレーの速さ
これらの守備に求められる能力を総合的に数値で評価出来るようにした指標こそが、UZRなのです。
[say name=”かつを” img=”https://katsuwopapa.com/wp-content/uploads/2019/05/icon-katsuwopapa1b.jpeg”]UZRは、守備の総合力を数値で客観的に判断出来るようにした指標なんやね![/say]
UZRとは:算出方法
UZRの算出方法は、以下のように決められています。
UZRの算出においては、まずグラウンドを多数の「ゾーン」に区分し、各ゾーンについて発生した打球の種類(バント・ゴロ・外野へのライナー・外野へのフライ)や速度(遅い・中間・速い)を記録する。そしてそれぞれのゾーンにおいて生じた特定の種類の打球についてリーグ全体でどれだけのアウトが記録されたかを算出する。このデータを基に、個別の野手のプレーを評価し、各種の補正を合わせて「リーグにおける同じ守備位置の平均的な選手が守る場合に比べて、守備でどれだけの失点を防いだか」を計算する。
簡単にまとめると、
[box class=”box30″ title=”UZRの算出方法”]
- グラウンドを各ゾーンに細分化
- 各ゾーンで発生した打球を、打球速度等のデータとして記録
- このデータを基に、個別の野手のプレーを、人が評価
- UZRは「平均(0)と比べてどれだけ失点を防いだか」が±の数値となる
- +ほど評価が高く、−ほど評価が低い[/box]
特徴的なのは、「打球速度等のデータを記録していること」と、「各プレーを人の手で評価していること」です。
そのため、私たちのような一個人では、打球速度のデータも手に入りませんし、全てのプレーを人力で評価する事も物理的に厳しいです。
では、UZRは誰がどのように算出しているのでしょうか?
現在、日本では「データスタジアム社」と「合同会社DELTA」の2つの機関がUZRのデータを取り扱っています。
合同会社DELTAは、一部のデータは無料で公開しているため、UZRの数値を確認する事が出来ます。
[say name=”かつを” img=”https://katsuwopapa.com/wp-content/uploads/2019/05/icon-katsuwopapa1b.jpeg”]UZRは、膨大な数のデータを人力で評価して、数値化してるんやね![/say]
UZRとは:評価方法
最終的なUZRは、±の数値で評価出来ますが、実は守備に関する評価項目が細分化されています。
合同会社DELTAのデータでは、以下の4つの項目で守備力を評価しています。
[box class=”box30″ title=”UZRの評価ポイント”]
- ARM(送球貢献):外野手の捕殺及び進塁阻止を表す指標
- DPR(併殺貢献):内野手の併殺完成の貢献度を表す指標
- RngR(守備範囲):守備範囲の広さを表す指標
- ErrR(失策防止):平均的な状況と比較し、どれだけ失策したかを評価する指標[/box]
内野手は「DPR(併殺貢献)」、「RngR(守備範囲)」、「ErrR(失策防止)」の3つの指標で、
外野手は「ARM(送球貢献)」、「RngR(守備範囲)」、「ErrR(失策防止)」の3つの指標で、守備力を評価していきます。
参考までに、2018年から日本球界に復帰した、ヤクルトスワローズの青木宣親選手の守備指標を確認してみましょう。
イニング | 1026 |
ARM(送球貢献) | 0.1 |
RngR(守備範囲) | -4.0 |
ErrR(失策防止) | 0.3 |
UZR | -3.6 |
ARM(送球貢献)とErrR(失策防止)は僅かながらプラスの数値ですが、RngR(守備範囲)の指標で−4.0とマイナスの数値だったため、UZRは-3.6と、総合的にはマイナスの評価となっています。
このように、今までの守備率だけでは見えてこなかった各項目毎の守備の能力が、数値で評価出来るようになっていまするのが、UZRの特徴です。
[say name=”かつを” img=”https://katsuwopapa.com/wp-content/uploads/2019/05/icon-katsuwopapa1b.jpeg”]UZRは4つの評価ポイントがあって、内野手と外野手で評価ポイントが微妙に違うんやね![/say]
UZRとは:評価基準
UZRの評価基準は、大まかに以下のように定義する事が出来ます。
評価 UZR ゴールドグラブ級 +15 優秀 +10 平均以上 +5 平均 0 平均以下 -5 悪い -10 非常に悪い -15
UZRは相対評価なので、年度によっても異なりますが、ざっくりUZRが+10を超えたら優秀であると言えます。
逆に、UZRが−10を下回ってくると、かなり悪い数値です。
平均的な選手が守るよりも、その選手の影響で10点以上損している計算になります。
この±10という数値を一つの目安として、各選手のUZRを見る際の参考にして見て下さい。
[say name=”かつを” img=”https://katsuwopapa.com/wp-content/uploads/2019/05/icon-katsuwopapa1b.jpeg”]UZRは+10あれば、かなり優秀な部類に入るんやね![/say]
UZRとは:注意点
UZRは、守備の各項目を数値で評価するという点では、とても画期的な指標ですが、いくつか注意点もあります。
UZRの主な注意点は以下の通りです。
[box class=”box33″ title=”UZRの注意点”]
- UZRはポジション毎の相対評価なので、一人数値が圧倒的に悪い選手がいると、平均的な選手の数値が上がってしまう傾向にある
- 投手・捕手は打球の処理機会が他のポジションに比べ少ないので、同じように評価出来ない
- UZRは1年単位ではばらつきが大きいので、複数年単位で評価するのがベター
- 最終的な評価は個人の判定であるため、評価は平等ではない[/box]
特に気を付けたいのが、「UZRはポジション毎の相対評価」であるという点です。
極端な話ではありますが、あるポジションで1人だけ守備が上手い選手がいて、残りの11人は守備が下手な選手が居た場合、1人の選手が圧倒的に高い数値が出てしまいます。
そのため、UZRの数値が高いから、歴代でもトップクラスの守備という評価は正しいとは言えません。
あくまでもそのシーズンの他の選手と比較した相対値が、UZRです。
絶対値ではないので、注意しましょう。
[say name=”かつを” img=”https://katsuwopapa.com/wp-content/uploads/2019/05/icon-katsuwopapa1b.jpeg”]UZRは相対評価。絶対値ではないから、ただ数字を比べるのは意味がないんやね![/say]
「UZRとは」まとめ
今回の記事では、守備力を総合的に評価する指標であるUZRをご紹介しました。
UZRを理解することで、今まではエラー数(守備率)やイメージでしか語る事が出来なかった守備に関する評価が、数値で判断する事が出来るようになります。
本記事を読んでUZRという指標について理解出来た方は、ぜひ好きな選手のUZRを調べてみて下さい。
UZRのデータは、合同会社DELTAで確認する事が出来ますよ。
[say name=”かつを” img=”https://katsuwopapa.com/wp-content/uploads/2019/05/icon-katsuwopapa1b.jpeg”]UZRを理解すれば、野球の楽しみがさらに増えること間違いなしですよ![/say]
2018年の各ポジションのUZRランキングについて知りたい方は、こちらの記事をご覧下さい!
→UZRランキング2018確定版!12球団で守備が上手い選手は誰!?
[card2 id=”1284″ target=”_blank”]
セイバーメトリクスや、他の野球指標について詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。
→セイバーメトリクスとは?知れば野球がもっと楽しくなる指標7選!
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それでは、今回は以上になります。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!
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