今回は、打者を評価する指標の1つである「出塁率」がどの程度から優秀なのか、解説します。
従来、打者の指標と言えば「打率」が一般的でした。
ただ、現代野球では「打率」だけで打者を評価するのは難しくなってきています。
打率に取って代わる事が出来る指標の1つが、今回紹介する「出塁率」です。
しかし、「出塁率」の計算にあたって、悩む点があります。
エラーや、犠打(送りバント)、犠飛(犠牲フライ)の扱い方をどうすれば良いか分からない事が多いですよね。
そこで、今回の記事で出塁率の計算方法について、それらの注意点を踏まえて分かりやすく説明します。
出塁率の計算方法が分かれば、野球の楽しみ方を1つ増やすことが出来ますよ!
出塁率は.333以上あれば優秀
出塁率は.333以上あれば優秀優秀な部類に入ります。
なぜなら、過去の平均の出塁率がおよそ.310〜.320程度なので、平均以上と言えるからです。
過去の各リーグ出塁率の平均値
過去のセ・リーグ、パ・リーグの出塁率の平均値は下記の通りです。
年度 | セ・リーグ | パ・リーグ |
2008 | 0.323 | 0.328 |
2009 | 0.316 | 0.334 |
2010 | 0.330 | 0.336 |
2011 | 0.303 | 0.308 |
2012 | 0.310 | 0.311 |
2013 | 0.323 | 0.331 |
2014 | 0.330 | 0.328 |
2015 | 0.313 | 0.326 |
2016 | 0.319 | 0.330 |
2017 | 0.318 | 0.319 |
おおよそ0.320前後といった所でしょうか。
そのため、出塁率が0.330以上あれば、「リーグ平均より優秀な出塁率の打者」という事でほぼ間違いないです。
打者を評価する際の一つの大きな指標になってくることでしょう。
また、DH制のあるパ・リーグの方が、出塁率は高い傾向にある事が分かりますね。
2017年出塁率ランキング
2017年度の出塁率ランキングは以下の通りです。
こうして見ると、広島打線が得点を取れる理由が分かりますね。
1番3番4番の上位打線に、高い確率で出塁出来る打者が揃っているので、得点の確率は自ずと上がって来ます。
セ・リーグ | 出塁率 | パ・リーグ | 出塁率 | |
1位 | 田中 広輔(広島) | 0.3982 | 柳田 悠岐(福岡) | 0.426 |
2位 | 丸 佳浩(広島) | 0.3975 | 秋山 翔吾(西武) | 0.398 |
3位 | 筒香 嘉智(横浜) | 0.396 | 西川 遥輝(日本) | 0.378 |
4位 | 鳥谷 敬(阪神) | 0.390 | 角中 勝也(千葉) | 0.375 |
5位 | 鈴木 誠也(広島) | 0.389 | T-岡田(オリ) | 0.374 |
6位 | マギー(巨人) | 0.382 | 茂木 栄五郎(楽天) | 0.37 |
7位 | 糸井 嘉男(阪神) | 0.381 | 銀次(楽天) | 0.362 |
8位 | 宮﨑 敏郎(横浜) | 0.377 | 中島 宏之(オリ) | 0.36 |
9位 | 福留 孝介(阪神) | 0.373 | ペゲーロ(楽天) | 0.356 |
10位 | 坂本 勇人(巨人) | 0.372 | 中村 晃(福岡) | 0.355 |
出塁率の計算方法
出塁率の計算方法は以下の通りです。
- 出塁率 = (安打 + 四球 + 死球) ÷ (打数 + 四球 + 死球 + 犠飛)
出塁率は打者の打撃機会あたりの出塁割合を表す。上記の計算式で算出された数値の小数第4位を四捨五入して第3位までの値を出塁率として用いる。打率などと同様に、整数部分の0は省略することが多い。かつての出塁率はタイトル受賞者の選定の際に算出されてはいたが[注 1]、打率と比べると常に注目度が低かった。だが、セイバーメトリクス(統計学の野球への応用)が盛んとなってからは、「打者がアウトにならない率」である出塁率は打率よりも得点に結び付く要因であることが裏付けされ、出塁率が重要視されるようになってきた。
引用元:Wikipedia 出塁率
この計算式で算出された数値の小数点第4位を四捨五入して、小数点第3位までの値を出塁率として用います。
一見長い計算式ですが、考え方はとてもシンプルです!
計算式の分子は、安打+四球+死球=「出塁数」と言い換える事が出来るんですよね。
つまり、
出塁率=出塁数 ÷(打数+四球+死球+犠飛)
と書くことが出来ます。
こう考えると、とてもシンプルですよね!
出塁率は、アウトにならない確率と言えるので、近年ではセイバーメトリクス上では重要視されています。
犠飛(犠牲フライ)の場合、出塁率は下がる
出塁率の計算式でのポイントは、犠飛(犠牲フライ)の扱い方です。
犠牲フライは、出塁率の分母に入るため、犠飛があると、出塁率は下がることになります。
そのため、犠飛がある場合には、打率よりも出塁率が低いと言うことがあります。
例えば、打数が10、安打が7、四球1、死球1、犠飛1の場合を計算してみましょう。
打率は、
7÷10=0.700
出塁率は、
(7+1+1)÷(10+1+1+1)=9÷13=0.692
となり、打率よりも出塁率が低い結果となります。
エラーで出塁した場合、出塁率は下がる
エラーで出塁した場合も、出塁率は下がります。
理由は、計算式の分子の値は変わらずに、分母の打数のカウントが増えるためです。
エラーの場合、結果的に打者は塁上に残るため、勘違いしてしまいがち。
しかし、エラーはあくまでも守備側の結果でしかなく、エラーが無ければ打者は凡退していたという考えのもと、出塁率は下がることになります。
犠打(送りバント)では、出塁率は下がらない
犠飛(犠牲フライ)では、出塁率が下がることが分かりました。
では、犠打(送りバント)ではどうなるのか?
結論から言うと、犠打(送りバント)では、出塁率は下がりません。
なぜなら、犠打(送りバント)は打数にカウントされないからです。
犠打(送りバント)と犠飛(犠牲フライ)の考え方は異なります。
犠打(送りバント)は、初めから「自己犠牲」の意思があり、走者を進塁させますが、
犠飛(犠牲フライ)は、フライアウトという打席の結果、ランナーが進塁した、
という考え方の違いがあります。
そのため、犠飛(犠牲フライ)は打数にカウントし出塁率が下がり、犠打(送りバント)は、打数にカウントしないため、出塁率は下がりません。
結論:出塁率のは.333以上あれば優秀
今回は、出塁率の計算方法をご紹介しました。
ポイントは、犠飛(犠牲フライ)・エラーで出塁率が下がるという点です。
計算方法自体は、シンプルですので、ぜひこれを機に覚えてみて下さいね!
出塁率は、近年ではセイバーメトリクスの観点でかなり重要視されてきています。
日本では未だに打率信仰が強い傾向にありますが、
出塁率の方が、打率よりも得点相関性(得点に影響する度合い:1に近いほど得点への影響度が高い)は高いです。
「アウトにならない」ということは、野球で得点する上ではとても重要な要素になります!
仮に、同じ打席数で次の2人の打者がいたとしましょう。
打者A:打率0.300、出塁率0.350
打者B:打率0.250、出塁率0.400
一見打率が高いので打者Aの方が優秀に見えますが、出塁率は後者の打者Bの方が高いので、
打者Bの方がアウトになりにくい打者であると言えます。
出塁が重要な役割を担う1番バッターであれば、打者Bの方が評価が高くなるでしょう。
このように、従来の打率だけでは見えなかった重要な指標が「出塁率」なのです!
それでは今回は以上になります。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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